レコーディング現場ではこんな風に作業が進んでいきます。サウス編その②

さてさて、スタジオサウスのレコーディングコラムその②です!
前回は【リズムREC】について書きました。今回はその続きを書きたいと思います!


⑤ギター・キーボードREC

ドラムとベースを録り終えたら、いよいよギター・キーボード。上(うわ)モノってやつですね。
OKテイクのドラムとベース、そしてガイドRECで録った仮歌に合わせてプレイします。
でもなんだか仮歌が前に比べて少し聴きづらいなあ…..なんでだろ??
これじつはスタジオサウスあるある。
本チャンのREC時に良い音でプレイすることによって、ガイドRECのテイクよりグルーヴ感が増してることが多いんですよね。
そうなると当然、ガイドRECの仮歌が少し埋もれて聴こえてしまう。
Protools上でタイム感をずらして補正してもいいんだけど、そんなときはいっそ仮歌を録り直してしまいましょう!

マンガ読んでるとこ悪いけどボーカルさん、出番ですよ!
そう、言い忘れましたがスタジオサウスにはマンガがたくさんあるんです。
進んでいく作業をずっと見守るのも良いんですが、それだと耳が疲れてしまって良いテイクか悪いテイクかの判断が難しくなってしまいます。
特に出番までの時間が長いギタリスト・キーボーディスト・ボーカリストは、疲れてしまって良いプレイが出来ない、、なんてことも考えられます。
そういったことを防いで作業効率を上げるためにマンガがあるんですね〜。

さ、本題に戻りましょう。
グルーヴ感の増したリズムトラックに合わせて仮歌を録り直しました。
さっきに比べて聴きやすい!これで気持ちよくギター・キーボードをプレイできますね!
さあテンション上げていきましょう!

自分の愛機を使ってこれぞキミ!というべきサウンドを作るも良しですが、スタジオサウスにあるギターやアンプを使って音作りすることもできます。
プリプロ作業時にイメージを作っていたとはいえ、RECが進んでいくにつれて新しいアイデアが浮かぶ、なんてことはよくあるはなし。
そんなときはスタッフに相談してみましょう。浮かんできたアイデアに適した機材があるかもしれません。
ギターはストラトやレスポールといったスタンダードなものからリッケンバッカーや12弦ギター、エレキマンドリンなんていうマニアックなものまでいろいろあるし、キーボードはハモンドオルガンやローズ、足踏みオルガンも揃ってます。

スタジオサウスの機材一覧はこちらです。(使いたい場合は事前にお知らせください!)

思いつきっていうんじゃないけど、ふとしたアイデアで曲が変貌することってけっこうあるんですよね。
地味な印象だった曲が、一転してリードシングル候補に、なんてことも全然あり得ます。
中学校のときに地味だった同じクラスの女の子が、大学生になったらすごいかわいくなった!みたいな?(笑)

ともかく、
その楽曲にとって本当に必要な要素を与えると、曲が成長するんです。
良いプレイを録って、その楽曲にしかない世界観を構築してください!


⑥ボーカルREC

ギター・キーボードのRECが終わると、いよいよボーカルの出番です。お待たせしました!
スタジオサウスの2階、コントロールルームの奥にボーカルブースがあります。
ボーカルやアコギなんかはここでレコーディングします。
ブースの中はボーカリストが楽曲の世界観に入りやすいように、蛍光灯を外して間接照明だけにしてあります。ちょっと薄暗い感じ。

レコーディングする曲の歌詞をプリントアウトして、自分用とエンジニアさん用の2枚を用意します。
レコーディング中、「すみません、2コーラス目Aメロの〇〇(歌詞)ってところからもう一回録っていいですか?」なんてやり取りがあった場合、プリントアウトされた歌詞があるとエンジニアさんもわかりやすいですよね。
それにボーカルRECはすごくシビアな作業なので、他のメンバーがディレクターとして立ち会うこともしばしば。
「さっきの〇〇(歌詞)ってとこ、少しシャウト気味に歌ったらどうかな?」
みたいな意見を言い合うときにも歌詞が用意されていると便利です。

前回、このコラムその①の冒頭で書いた「マイクの前にある金魚すくいに使うみたいなやつ」はポップガードといって、歌うときの息によるマイクへのノイズを軽減するものです。
よくアーティストのMVやREC写真とかで出てますよね!

ヘッドホンをしてマイク&ポップガードの前に立って、まずは軽く歌いながらヘッドホンの聴こえ方を調整します。
手元にドラム、ベース、ギターなどそれぞれのパートの音量を調整できるミキサーがあるので、それで自分の歌いやすいようにバランスを調整しましょう。
ベストな状態で臨むためにも、聴こえ方についてエンジニアさんに相談してみてもいいかもしれないですね。

言わずもがな、大抵のバンドにとってボーカルは主役。
一番良いテイクを残すためにも、声が消耗してしまう前に録り終えたいところです。

あんまり触れてませんが、一応ここでは『3曲入りシングルをレコーディングしている』という体でお送りしています。
もちろんバンドによりますが、ボーカルRECは録れても1日3曲までかなあ、というのが僕の実感なので3曲RECの設定にしました。
どうしても声が消耗してしまうので、あまり続けて何曲もは録れないですよね。
1曲あたり何テイク必要なのかによっても変わってきますが。
(それを考えると、13曲を1日で録りきったTHE BEATLESの1stはすごいですよね。
あそこはボーカルが一人じゃないってこともあるけど。)

主線のメロディラインを録り終えたら、コーラスを重ねてレコーディングは終了です。
メンバーのみなさんお疲れさまでした!


⑦TD(トラックダウン)

レコーディングは終わりましたが、これだとまだ『ただ録っただけ』の状態です。
これを整理して世界観を構築していく作業がTD(ティーディー)と呼ばれる作業です。
まずはエンジニアさんがラフにまとめてくれるので、マンガを読んで待ちましょう。
このTDで楽曲の世界観が決定付けられます。
中には「この曲はTDで持っていく(作りこむ)感じだよね〜」なんてパターンもあるくらいです。

TDは『ミックスダウン – Mix down – 』と『マスタリング – Mastering – 』の2つの工程があります。
各パートの音を整頓して楽曲を構築していくミックスと、それを再生する環境に最も適した状態に仕上げていくマスタリング。
ここまでのレコーディングを進める中でのメンバーとエンジニアのやり取りで、楽曲がどんな形を求めているかというのはある程度イメージ共有できているはずです。
そのイメージにむかって、まずはエンジニアさんがミックス作業を進めていきます。
エンジニアさんがまとめてくれたミックスを聴いてみて、もし違和感があるところがあれば伝えてみんなでイメージに近づけていきましょう!

こうして出来上がった楽曲の曲順や曲間の長さを決めて、3曲をひとつの作品としていい感じに聴けるようにするのがマスタリングと呼ばれる工程です。
ステレオで聴いた印象、ラジカセやノートPC、ひいてはスマホで聴いたときの印象に、出来る限り差が無い様にしていくのもここでの作業です。(ミックスの時にもある程度はやりますが。)

なので出来るだけいろんなもので試聴してみましょうね。

ミックス、マスタリングと工程を経て、晴れて作品の完成!となります。

レコーディングは時には思うようにいかないことがあったりして、文字通り『産みの苦しみ』を味わうこともありますが、イメージに近いものだったり、時としてそれを上回るものが出来たりしたときの喜びは他には代え難いものがあります。

スタジオサウスは出来る限りイメージに近いものを、あわよくば「この曲こんな良い曲だったんだ!」というミラクルを起こせるスタジオでありたいと思っています。

ではでは、世の中に良い音楽がもっと溢れていきますように!

(by 赤羽一成